いまここnote

松田青子さんの著書を読んで。

これはカギ括弧付きの『おっさん』についての物語です。

せやろがいおじさんのYouTubeチャンネルを視聴していたら、ジャーナリストの伊藤詩織さんとの対談で、この本で盛り上がっていたので、その足で２軒、市内の大手書店に車を走らせました。
せやろがいおじさんは、本を読みながら過去の忌まわしい、自分がある女性に対して行った体験を思い出して、何度も深慮してしまい、なかなか本が進まなかった、と、、、

各種ハラスメントから目を背けられない。
背けちゃいけないテーマ。
自分がされたとき、相談する場はあるか？
それは解決する見込みはあるの？
人がされてるのを傍観者の立場で見ていたら、どう関わればいいの？

ハラスメント、これと『無縁です』といえる人は、やってる側の人間か、素晴らしき武器ともいえる愚鈍さの持ち主か、頭の中お花畑な位ポジティブな人か、恐ろしく精神的に大人で理性的合理的な人か、心を守り抜く鉄壁なスルー力を方略として会得済みか、聖人のどれかだと思ってます。

女子特有の生き辛さとは何だ、、、
これは私の中のテーマの一つです。
勿論男性ならではの生き辛さもあるでしょうが、それは私には分かりません。

女性に対しては、個別にこの人おっそろしい、と思うことはあっても、集団として、マジ怖って思ったのは、むしろ男性コミュニティの方です。

女性コミュニティで、単に揉まれてこなかった（距離をとっていた）だけかもしれませんし、自分の中に、『おっさん』がいない訳でもない。いや、いる。

おっさん性について、考えるとき、既に自分固有のフィルターにかけ、『おっさん』一括りにカテゴリー化して、作中の表現をお借りするならば、『箱』の中から出したり入れたりしてる訳ですが、、、

自分の中に大きな対峙すべき『おっさん』の壁というのがあり、この概念と向き合う、というか、折り合うというか、昇華しなきゃ、純粋に自分に向き合うことができない気がするんですね。中年の壁なんて、『おっさんの壁』に比べたら些末なもの。

前置き長くなりましたが、とりとめなく、おっさん性について吐き出す回。

（君はだれだ）

読みながらあまりの登場人物の目まぐるしい変化に、思わず叫んだ。
私は複雑なストーリーが苦手だ。
かつて、映画で『バベル』とか邦画でも話の展開が多過ぎるサイコに至らないレベルのを好んで観てきたが、タイトルやキャストをぐぐれないくらい、ごちゃごちゃした作品は何点か観ましたが、終わって、きょとんとすることも高頻度であります。

映画は大抵一人で観ますが、もし誰かと観たら、確実に『ねーねー、今の分からんかった』と妨害する自信があります。

この小説の中では、複数の登場人物が、様々な立場、角度から鍵括弧付き『おっさん』について考察していきます。

順不同で文脈すっとばして抜きますが、
日本人男性のナイーブさとか、『男性を立てる』についての考察が面白い。小説スタイルだから登場人物の口を借りて、、、

多分、『おっさん』は、次の行からは、読まない方がいい。もやもやするだろうから。

まさか、女性目線でそんなこと考えられてるなんて、そんないじられ方でレッテル貼られてるなんて、気分悪いだけでしょうから、、、

〜まるで、男性は一人で立っていられない、自立ができない、骨と筋肉がぐにゃぐにゃの、珍しい生き物のようです。あまりにも女性のケアを必要としていたようなので、もしかしたら実際にそうだったのかもしれません。写真が記録に残っていなかったのが残念です。〜

またあるエピソードでは、、、

ある派遣の女性社員に嫌がらせをして退職に追い込んだ、すかした自称恙無くイケてる感じの若い勘違い男性社員が、辞めた女性社員の後輩ちゃんから復讐の矢を向けられ、本性曝け出されるところ。

後輩ちゃんが、男に対して、恨み果たさでか、と『まだ話してるだろ、割り込んでくるな、今、何言おうとしたか、当ててやる、女のくせに言いたい放題言って生意気だ、俺様の方が偉いんだぞ、とか、そんなんだろ、わかりやすすぎ』と逆襲して、男のシッポを曝け出させるシーン。その後の男の末路、、、
　
そもそも、なんでこの男がハラスメント行為を先輩に働いたかというと、たまたまハンカチを拾ってやったのに、思わしいリアクションを取らなかったから、そもそも【自分より低くみていた】相手に【自分を蔑ろにされた】印象を受けたため、、、なんですよね、、、多分。

【あいつ気に入らん】てメカニズムは、【自分をあるべきように、敬い、立ててくれなかった、ありえない、悔しい、おかーさーん】って、自分の期待値と得られたフィードバックのズレの不協和音を全て相手に責任あり、とする幼稚性が背景に潜んでるんじゃないかと。（何度も自分で読み返して、このくだりを、付け加えました。）

その後陰湿な嫌がらせをして、先輩が人事部に、『気持ち悪いから注意して行動を止めさせて欲しい』と訴えるのですが、そいつは巧みに周囲の人らに、自分達は付き合ってるとの匂わせ目撃事実の種を撒き散らかしていたんですね、、、

風評被害の種を撒き散らかして、脇から固め、気づいたら蜘蛛の巣に引っかかったようにがんじからめにして、身動きできなくする、、、

この男がこれに当たるかは100%の自信はありませんが、親切面して、世話を焼いたり共感するスタイルで纏わりつき、やがて見えない糸でがんじがらめにするような、カバートアグレッションタイプの人から、ターゲットにされないためには、適度に抵抗してゴネる技術が必要ですが、一度この手のタイプの人に恨みを買うと手の施しようもなくなり、自分の中のコントロールを失いエネルギーを搾取される構造。

女性だけが、付き合ってもないのに、結局、痴情のもつれから、被害者ヅラして組織に訴えるなんて、ヒステリー性の奇異な行動にでたヤバい奴だ、と上層部の『おっさん』らからも、問題児扱いされ、辞職に追い込まれる、、、

男にしてみたら、自分が相手を支配しているという、マウント行為を確認するためだけの他愛もないゲームの一つで、【詰んだ、詰まれた】の世界なんでしょうね、、、

頭の中は、それこそ、【悪い奴に制裁してるだけ】で、正しいことやってる、世の中はこういうもんだと教えてやってる、むしろ感謝しろ、位の勢いで、快楽物質出てるから、自分で止めることはない構造。

この勘違い自意識過剰イケメン、謎に陰湿過ぎるやろ🤣

あまり、セクハラを生々しい描写にすると、読者が辛い気持ちにならないように、との著書の配慮だそうです、、、

また、誰の言葉とかも、ふわっとした描写で分かりませんが、活字だけが胸に突き刺さる、日本社会に対する痛烈な批判？

なんかストーリー設定では、昔、日本は人口減らす国選びで、クジ運悪く、当たり（ハズレ？）くじを引いてしまったらしく、日本の国は緩やかに、人口減らして畳むことになっちゃったらしい、、、

政治家のオフレコ会話が、印象的。

「うわー、まだ産んでるよ」
「なんで産みたいと思えるんでしょうね、確実に育てにくい社会にしているはずなんですけどね」
「意外としぶといな」
「もう一段階、産みにくくしてみましょうか？」
「それで頼む」

この本では、ちょいちょい事実が盛り込まれているので、普段あまりテレビみないのですが、こんなニュース最近あった？事実か否かの判断がつかない。フィクションであって欲しい。

フィクションなのに、実は本当の話じゃないの？と一瞬私に思わせるくらい、少子高齢化と女性の社会進出の相関関係に、日本の未来に、どっぷり悲観的な自分がいることに改めて気づかされた。読書って面白いですね。

最後のシーン、ネタバレになるから書きませんが、あまりの衝撃に涙が出た、、、
まさかこんな、、、

私も好きなというか、気になっていた若いアイドル戦士に、（よー頑張ったなー、自分らの代わりにありがとうな）って、、、投影ってやつかな。

これまで、小説って本当に好んでは読んでこなかった、、、

大学入学前やその後、慌てて、吉本ばななさんのキッチンに始まり、老人と海を確か原書で読め？と指示され、和訳を漁ったり、村上春樹さん、村上龍さんの作品を少し、エッセイで中島らもさんや椎名誠さんを少し齧ったくらい、、、

一応英文学部だったので、授業で文学ってこういうのかと知ったくらいで、結局文法のゼミに入ったし、、、

だからこの年になって、なんなら初めてフィクション読んだのかな？って。

本とか面白かったら、誰かにシェアしたくなる口なので、この本は明日には手元離れますが、ぜひ、おっさん学の知見を深めるためにも、多くの方の目に触れたら、女の子の秘密とかを、知る機会になるんじゃないかと😌（女子視点のおっさん学である以上、女子目線を知ることは、女子学にも通じています。登場人物の年齢層が総じて若いので、こちらの表現にしました。）

著書のいう括弧付きの『おっさん』から離れてしまうけど、私は決して世間の'おっさん'が嫌いな訳ではない。よい'おっさん'もいる。自分の中には'おっさん'も'おばはん'もいる。小賢しくズルい自分もあざとい自分も幼稚で未熟な自分もいる。

色々混ざり合って一貫性のない自分がデフォルトだと思っている。

だけどこれからも'おっさん考'は引き続きテーマにしていきます。

なんか最近は、男子女子の括りだけやなく、キャリア官僚の離職率増加とかをよくニュースで耳にします。中央のおっさん達、若手が定着するように働き方改革、ちゃんとやったげて、、、

いよいよ人足りなくなって、男とか女とかゆってられなくなってきた時代が来ましたね。

さあ、これからだ。