こころ
角川文庫の単行本
小説らしい小説を
初めて読みました
いやこないだ、カフカ読んだから
日本の文学に触れたのが初めてというか、、、
いやはやお恥ずかしい
文学部出身だというのに。しかも漱石と同じ英文学科。一体何を収めたんでしょ。学生時代に。実家探したけど卒論はおろか、卒業証書すら見当たらなかったのですが、、、
登場人物の先生を慕う学生さんに、なんだか感情移入してしまいました。
尊敬できる誰かに指南したい、先生と呼びたい、、、もう息子が成人し社会に巣立つ準備というか羽ばたき練習を初めてる時期だとゆうのに、分かる、、、書生さんの気持ちが。
年取るってなんなんでしょう。
学生時代から自分の根本はあまり成長してない気がします。年相応に、経験は積んだはずなので、その界隈の常識とか、振る舞いとか、考え方などについては、さまざまなバリエーションは纏ったり、相応に煤けてきたつもりではいたのだけれど、、、
先日、夏目漱石の本を読もうとなり行きで、書店で悩みました。
やたら長いのは、無理、、、
薄すぎるのも、、、
吾輩は、って猫の気持ちなるやつでしょ?
坊ちゃんはなんか、坊ちゃんがでてくるんでしょ?
迷いました。
読み終わってから、なんだか胸ぐら掴まれたような、、、え?そこで、終わるんだ!というのもありましたが。
私には別に実家に財産などありはしないし、普通の関係の兄弟もいるので先生とも、書生さんともなんら共通点はないのですが、親の健康や介護、実家の家屋やなんやかや、人並みに考えなくてはいけない年代には突入している。
しかも、読まなきゃならない本ばかり買っては、椅子に座って読み耽る振る舞いから、逃げ回っているところ、全く登場人物達とリンクすることなんてないのだけど。
人のこころの機微というか、葛藤というか、自分はこう思うが他人はこう思ってるんだろう、なんて、ぐじぐじ考えている様子など読んでると、ああ、分かる、、、と皆んなこうなんだな、という擬似体験というか、、、
そもそも、「文学」の私なりの定義というか解釈てのが、人は自分の頭の中の世界しか知らないわけで、興味関心事、どれだけ何に執着するか、どんな活動に優先順位や時間を当てるか、どんな人生をどんなペースで歩むのか、過ごしてきた人生の内容や充実感はいかがなものだったのか、、、
他人のことは、自分以外一切わからない訳です。
自分と他者とは、ただ、縁があってなんらかの属性が共通してるから、その瞬間を一緒に過ごしたか、または全く出会うこともなく生涯を終えるか、、、
今の世界から一歩も動かなけりゃ、良くも悪くも新しい出会いも当然ない訳ですが。
文学は、作家さんが考える世界で、他の人はどんなふうに考えるかってのを体験できる。
エッセイも書き手の考えることは伝わりますが、そこには伝えたい方向性が凝縮されてるので、ちょっと文学とか違うかな。
漫画やドラマ、映画だって、ある意味、文学に通じる、、、文字読まなくていいから、楽なんですね。
こころは、普段、あまり進まない本だと本当に進まないのに、割と一気に読んだ方です。次どうなるの?時間開けたら、忘れてしまう。
陳腐なことしか言えなさそうで、内容には触れませんが、面白かった、し、なんか心を掴まれた。何をどう?と説明できない。でも、今このタイミングで出会うべき本だったんだな、と感じる。
ただ最後の最後に、35年経ってようやく自死した乃木大将の下りが出てきて、ああ、そう、他人にはわかりっこないのよ、、、と妙に腑に落ちた。
私は普段の付き合いなんかでも、あまり浅く広くできないので、本当に友人知人は数少ない方だと思うのですが、
人に説明しても、およそ理解してもらえそうにない関係を、
文学な関係
と昔から名付けている。
その意味で、登場人物の書生さんと先生は、初めの出会いで何がきっかけでお近づきになったのかもよく分からないまま、読み進めてしまったけど、まさに2人は文学な関係、、、
先生と奥方の関係もだし、Kとの関係も。
それでいえば、文学な関係は、あちこちにあるんですね、、、🌕
中秋の名月味損ねてしまいました。昨日は曇っていたし、、、🌕
ちなみに、他の漱石の本を読もうか、という気持ちにはなっていません。
現実でやらねばならないことに忙殺される日々、、、