『反省させると犯罪者になります』
【岡本茂樹著、新潮新書、2013初版発行】

読んでいく最中、自分の子ども時代を振り返ったり、日常の対人関係にもそのまま当てはまるなあなど思い耽り、頁をくっては、本を置き、またくっては眉間に皺を寄せながら瞼を閉じるを繰り返し、なかなか進みませんでした。

家庭内、校内、社会におけるその人の人格形成に関わる人との関わり、児童福祉、教育、司法、更生施設、、、

刑務所で過ごす凶悪な事件を引き起こした受刑者を支援する立場から、子どもと親との関わり、親から受けたストレス、抑圧された子どもの思いなどに焦点を当て、その原因や行動を起こすまでに至る思考を理解すること、加害少年が心の内面に向き合い自分が受けた傷を認めて吐き出して初めて、被害者の痛みを知ることができるといった内容。

更生プログラム、内観療法、ロールレタリングなど、どのようなアプローチが受刑者が被害者心情を真に理解し、向かい合うまでに必要であるのかなどについて、また、子ども時代における親からの価値観の刷り込みや世代間連鎖の恐ろしさ、自己肯定感の欠如など、問題行動が起きるまでの背景に着目。

「ありのままの自分」を受け入れる、受け入れてもらうことの大切さ。

受刑者が他の受刑者を受容し、互いに支え合うことの大切さと刑務所の現状について。

また、凶悪事件のケース紹介の他、子どものいじめ問題で、いじめた側の生徒のコメントも3つ含まれ、非常に読み応えがありました。

以下、気になる箇所思いつくまま、原文まま抜粋させていただきますが、前後の文脈を正しくとるために、是非全文に触れていただければと思います。 

〜被告は裁判でウソをつくp32〜

〜言い方は悪いですが、私たちは子どもの問題行動を歓迎しています。何故なら問題行動とは、「自己表現」の一つだからですp49〜

〜真の反省は、自分の心の中につまっていた寂しさ、悲しみ、苦しみといった感情を吐き出させると、自然と心のなかから芽生えてくるものですp130〜

〜「我慢できること」「一人で頑張ること」「弱音を吐かないこと」「人に迷惑をかけないこと」といった価値観が「いじめ」を引き起こす原因にもなっているのですp158〜

〜自分のなかに、正しいと思って刷り込まれた価値観が多ければ多いほど、他者に対して「許せない部分」が増えていきますp158〜

〜「尾木ママ方式」ではいじめを減らせないp161〜

〜いじめ防止教育は、「いじめたくなる心理」から始めるp164〜

〜親や教師は勉強やスポーツで伸び悩んでいる子に対して、「やればできる」という声かけをしがちです。確かに「やればできる」という言葉は他者を励ましていることにもなりますが、見方を変えれば「やればできる」ということは、「今のあなたではダメ」というメッセージを伝えていることにもなりますp181〜

〜正論は、相手の心を閉ざす「言葉の凶器」と考えてもいいでしょうp187〜

〜実は「怒り」の感情の奥底には、自分を受け入れてもらっていない(=愛されていない)「寂しさ・悲しさ」といった感情があるのですp198〜

〜人間関係では、心が安定するために、太い綱、すなわち安心して心を開ける人をたくさん持ちたいものですp203〜

⭐️自分を大事にできない者は、人を大事にできない、、、
自分の傷に向き合えない者は、人の傷の痛みが分からない、、、

ありのままに、、、
2020/4/1