『空気を読む脳』
(中野信子、脳科学者、医学博士、認知科学者、講談社)
コロナのため、学生生活に待てがかかり、祖母宅掃除か勉強か、以前買っていた本読むか、、、とりあえず待機中最後の一冊、やっと読めました。
面白すぎる、、、
以下、私が特に好きな箇所の要約と雑感です。(かいつまみ方や解釈に偏りがあるかもしれませんが、、、)
【セロトニンとバッタの大群】
セロトニンとは、体内で合成される脳内化学物質で、精神安定剤とよく似た構造で、適切に分泌されているとストレスに対する抵抗力が増す。
真核細胞である酵母やカビにも、セロトニンの受容体がある。
不足すると慢性的なストレスや疲労、イライラ感、向上心・仕事への意欲低下、協調性の欠如、うつ症状、不眠などの症状が現れる。
男性は女性に比べて約52%脳内でセロトニンを生成する能力が高く、セロトニンの分泌は女性ホルモンと連動しているため、女性の場合は生理周期の影響を受ける😱
日光を浴びると脳内でセロトニンの合成が始まる。起床直後から30分までが重要🌞15分から30分程度日光浴を意識するとよい。
セロトニン神経は脳の中心部の脳幹のさらに奥、縫線核にあり、大脳新皮質を始め、情動の座である大脳辺縁系、生命維持のための視床下部、脳幹、小脳、脊髄など殆ど全ての脳神経に影響を及ぼし、意識レベルややる気の状態をコントロールしている。
セロトニンが出れば出るだけよいとも限らず、セロトニンをはじめとしたモノアミン類と総称される神経伝達物質の研究によると、私達の性格は、より不安が強くなる方向に進化してきた。これは人類進化の初期に不安の度合いが高い方が生存に有利であったから、と考えられている。
また、中脳にあるセロトニントランスポーターの量が、日本人は世界でも一番少ない部類に入る。
京都大学高橋英彦准教授の行った『最後通牒ゲーム』などの研究結果も紹介。
セロトニントランスポーターの密度が低いと、その性質は、実直で真面目で自己犠牲をいとわないが、一旦不公平な仕打ちを受けると、一気に義憤に駆られて行動し、自らの損失を顧みず、どんな手を使ってでも相手に目にもの見せようと燃え立ってしまう🔥
👉からのカミカゼか...
また、セロトニンは集団としての振る舞いに大きく影響を及ぼす。
数十年に一度西アフリカからインドまでの作物を食べ尽くす蝗害を引き起こすサバクトビバッタが大群をなす時。
個体を冷ややかな敵対関係にある孤独相から互いに引き付け合う群生相に変えるのは次の2点。
・長期間他の仲間の姿を見て、臭いを嗅いだとき
・後ろ足を継続的に刺激されたとき
相転換が起きると、きれいな緑色から翅が発達し、黄色と黒の強そうな姿になり、筋肉も増強、長時間の飛行や仲間の活動的な捜索が可能となる。
人間にも、環境における個体群密度センサーがどこかに備わっていて、その機構がセロトニン濃度の調節を行い、私たちの行動を変えてしまう可能性が、ありうるのではないか。
👉群衆心理は、まさにそれではないでしょうか。コロナショック然り🦠
【エモーショナルブランディング〜ペプシとコカコーラの実験より】
アメリカの脳科学者モンタギューらの研究より。
主観的な快楽を感じるときには脳の腹内側前頭前皮質が活性化するが、コカコーラが好きと言う人がコカコーラと知って飲むときは、記憶・情動の回路が活性化する。
(何も知らなきゃペプシを飲んで、ペプシのが美味しいとゆってるところ、コカコーラと聞いて飲むと、やっぱりコカコーラは美味しいなあ、ってなる感覚です。)
ブランド名を知ることで、感情的記憶に働きかけて、判断を変化させるという研究紹介です。
👉街頭アンケートをする際、見た目や身嗜み(ブランド品を身につけるなど)が相手に与える影響や行動に関わってきますよ、って流れからの展開です。
コーラの実験では、このブランドが好きって前提があって、先入観が体験を通じてより強化されていく感じでしょうか。先入観っていうか思い込みの能力怖い😱
この効果、人でもしょっちゅうありませんか?あの人のいうことなら耳を貸そうか、、、とか。
【変化しやすい美人の基準〜内側前頭前皮質】
素晴らしいブランドをさほどカッコよくない人が好んでいると分かった時や、時間を経て価値が色褪せてきたり、時と場合により、以前ほどカッコよいとは感じなくなる。
『美人』の基準も時間軸、空間軸により、かなり大きく変化する価値の一つ。
ある実験では、学生にカッコいい家電を評価してもらい、カッコいいと感じた時に活性化したのは、内側前頭前皮質で、この部分は、空想、計画、内省的な思考や『自意識』に深く関わっている領域🧠
この部分は、自覚してなくても自分の周囲を常にモニターし価値判断を行い、自分と関連ある一定の値を超えると、自動的に関心が向くようにスタンバイし、無自覚的な行動をひそかに誘導している。
内側前頭前皮質は、自分の社会的な位置付けを確認するため常に活動し、『カッコいい』基準以外に、無自覚のうちに行動を抑制し、その社会の倫理規範と照合して適切な行動をとらせ、反社会的な振る舞いをさせない働きをする。
👉人を好きになるのにも、嫌いになるにも、これって決定打なんてない(細々したエピソードは数えきれないほど累積するんでしょうが、、、)んじゃないか、などと思っていましたが、脳は自分が認識している以上に水面下で情報収集や過去のデータベースとマッチングしたり、情動の部分なんかとも連絡とりながら、総合的な評価や修正を繰り返したり、必要な都度、何となくや直感レベルで警告してきたり、意識や価値観に刷り込んできたりするのかなあ、、、
『人は三日あれば変われる』って、この部分の意識の持ちようを変えろってことか、、、🧐
【不倫バッシングとオキシトシン】
愛情ホルモンとして知られる脳内ホルモンオキシトシンは、近しい人との愛着を高め、集団の結束を深める働きがあるが、妬みや憎しみ感情をも同時に高めてしまう傾向がある。
社会のルールを守る誠実で善良な人ほど、逸脱者への攻撃に熱心になる傾向がある。
不倫バッシングを楽しむ側は、コスト(バッシングや電話をかける時間や労力、名誉毀損として訴えられたり、リベンジされるリスクなど)を支払ってでも、バッシングによって得られる快感〜相手がみじめな姿をさらすことで、胸がすくような思いがする〜を手放せない。
👉シャーデンフロイテが、浮かびます。この本では論じられてませんが、外せない概念、、、
また、不倫バッシングは、自分が『正義の側』にいることを確認する行為でもあり、これにより脳は更なる報酬を得ることができる。
👉同調圧力とか不協和音とかも、このあたりが関係してるんじゃないかと予々、、、
他人の不幸は蜜の味って、、、🍯
可愛さ余って憎さ百倍、、、
『不倫バッシング』を、『いじめ』に読み替えると、大体腑に落ちる。
脳は、そういう風にできてるもんだ、という前提、、、
【ビキニとバストと、、、】
プリンストン大学の有名な研究では、男性にビキニ👙姿の女性の写真を見せて脳をスキャンしたところ、共感性といわれる部位の活動が低下して、人ではなくモノを見てるかの状態になるとのこと👀
対象となる人物の気持ちがわからないか、または気遣いをするという発想すら起こっていないことを示唆すると考えられている。
相手がどんなに嫌がっていても、触られて喜んでいた、相手は受け入れていた、合意の上での行為だ、、、
そこに相手方を気遣いや尊重しようという意思はない。
👉そういう時て、その自信は一体どこから来るのでしょう🧐
大体セクハラには、パワハラがセットってか前提だと思うのですが、、、
【良心の領域〜内側前頭前野】
再び、内側前頭前野。『妻たるものは夫のために料理をすべき』『働いて帰ってくる夫のために居心地よく住居を整えておくべき』『こんなことをしたら嫌われるのでは』など自分に対して語りかける自分の声の正体はここ。
自分の行動を律し、また、他人に対してもその行動を嗜める働きをする。
『不倫はすべきではない』『子どもがいるのに夫婦喧嘩をすべきでない』『予定されていたコンサートをアーティスト側がドタキャンすべきでない』など全くの他人に対しても、『いかがなものか』と物言いをつけたくなる。
👉myルール≠yourルール
認知を変えるとしたら、この部分に働きかける、、、
人と一緒にいると他人の視線が気になる人の割合は、20代で7割、30〜40代は5割程度と年齢が上がるにつれ下がる。これは、人の視線に慣れるということと、不安そのものを抑えるための脳の仕組みがより発達してくるから、、、
👉マ○イカ○ヨさんの、YouTubeは楽しく拝見しまくってましたが...
【子供は朝起きるのが弱いもの...】
10代の子どもの睡眠リズムは大人に比べて後ろ側にズレている。
メラトニンという体内で合成され、睡眠を誘導するホルモンの分泌が大人より2時間遅く、分解も遅いため。
睡眠誘導ホルモンが脳に残った状態のため、朝なかなか起きられず、無理に起こすと脳が睡眠不足になる。
子どもが朝起きられず、昼もうとうとして、夜活動的になるのは仕方のないことと捉え、アメリカのある高校で始業時刻を遅らせたところ、生徒の成績が平均的に有意に上がり、また、試験の開始時刻とスコア向上との関連性、運動選手の競技成績の向上、うつ病の罹患率の低下なども確認された。
始業を遅らせると困るのは、子どもではなく教師や親ではないのか、という考察がなされている。
👉気合いが足りない‼️気合いだー‼️って子どもに怒ってました。自分が若い頃は、朝に強かったので。子どもは、自分のコピーじゃないですもんね。
【おわりに】
人生という不条理なゲームをゲームオーバーまでどう戦い、どうクリアするのか。
🌕うーん、中野さん、痺れる😌
次からはしばらく固い内容でイン・アウト予定😌
最後まで読んでいただいた方、ありがとうございました😊