痰と肺炎と誤嚥性肺炎
肺炎、特に誤嚥性肺炎についてまとめてみました。
まずその前に肺に関する統計数値を。2019年人口動態統計(確定数)(厚生労働省)による日本人の死亡原因の割合。
①ガン・・・・・・・・・27.9%
②心疾患・・・・・・・・15.3%
③脳血管疾患・・・・・・8.2%
④老衰・・・・・・・・・7.6%
⑤肺炎・・・・・・・・・7.2%
⑥不慮の事故・・・・・・3.0%
⑦誤嚥性肺炎・・・・・・2.7%
⑧腎不全・・・・・・・・1.9%
⑨自殺・・・・・・・・・1.5%
⑩血管性等の認知症・・・1.5%
※男性の場合は、⑦と⑧の間に慢性閉塞性肺疾患(COPD)が入ってきます。
※女性の場合は、⑧⑩ときて、その次にアルツハイマー病が入ってきます。
ガンの部位別死亡比率は、男女ともに気管、気管支および肺が何れもトップで、
男性~胃→肝→結腸→脾→前立腺
女性~結腸→脾→胃→乳房→肝→胆
と続きます。
では、呼吸器系に戻ります。
●加齢による呼吸器の変化
生理的変化として、
・肺胞の弾力性の低下
・肺胞数の減少
が挙げられ、酸素と二酸化炭素の交換の効率が悪くなると、血液中に溶け込む酸素量(酸素飽和濃度)は低下する。
加齢や低栄養により、腹筋、横隔膜、胸鎖乳突筋などの呼吸筋群の筋力低下が生じる 。
●痰と繊毛(線毛)運動
ヒトは1日に約2万リットルの空気を呼吸。吸い込んだ空気には、ほこりやばい煙、カビ、細菌、ウイルスなどの異物が含まれる。
空気の中の異物を肺まで届かないようにガードしているのが、咽喉から肺に至る気道の内壁を覆う粘膜と繊毛(線毛)。
気道に入った異物は粘液で捕らえられ、その下にある線毛が1分間に約0.5~1センチメートルの速さで外へ向かって異物を移動していく。
繊毛運動により肺胞、気管などから喉元まで運ばれた分泌物(痰)は、通常無意識のうちに食道の方に飲み込んでいるが、チリや微生物、異物を捉えた場合、痰が増加し、粘り気(粘性)が増すと気管や喉に痰がとどまり絡まるが、通常は咳払いをして体外へ排出される。
繊毛(線毛)の弱点は「寒さ」と「乾燥」。冬にインフルエンザにかかりやすいのはこのため。
寒さからこの運動を守るのはマフラーとマスク。マフラーで咽喉を暖め、マスクをすることで咽喉の乾燥を防ぐことができる。
●痰の性質と状態
通常の痰は無色透明、またはやや白色で臭いはないが、痰の色が白色の濁りが強くなったり、黄色や緑色っぽくなった場合、呼吸器の感染が疑われる。
また、粘り気がある場合は、体内の水分量の不足から乾燥していると考えられる。
腐敗臭や甘酸っぱい臭いがする場合は呼吸器感染が疑われる。
●痰の貯留
繊毛運動がしっかり行われていれば、痰は肺に貯留することなく喉、口から体外へ排出されるが、次のような場合は、痰が口腔内、咽頭、気道、肺などに貯留する。
・たんの量が多くて排出しきれない。
・粘性が増して硬く、喉まで上がってこない。
・咳払いや腹圧が弱く、喉まできている痰を口から排出できない。
・嚥下の状態が悪く、分泌物を食道の方に飲み込めず、喉や気道、口、鼻に停滞する。
・意識状態が低下し、意識的な咳払いができない。
・人口呼吸器を使用している。
※呼吸筋力低下や嚥下障害などがあると喀痰の誤嚥・喀出困難により呼吸状態が悪化するリスクがある。
●痰が増える原因
・ウイルスや細菌などが口や鼻から肺に入り込むことによるもの
・食物や唾液を誤って気管のほうに飲み込んでしまい、誤嚥性肺炎を起こした場合
・気管内チューブなど、からだが異物と判断するものが挿入されたため、痰をつくり、異物を排出しようとしている場合
●誤嚥性肺炎
高齢期には、口から入った食べ物や水の誤嚥による気道閉塞、感染性常在菌を含んだ唾液が誤って気道内に入ってしまうことなどからも、誤嚥性肺炎の発症が増加する。
長期の寝たきり状態で口腔内が不潔になりやすい高齢者は、常に誤嚥性肺炎の危険にさらされているため、口腔ケアが大切。
誤嚥性肺炎の背景には、脳血管疾患や心疾患、嚥下障害、意識の低下、ADL(日常生活動作)の低下や寝たきり、認知症、円背・亀背、胃切除後、パーキンソン病などの神経変性疾患など、数多くの状況が嚥下障害や誤嚥性肺炎の原因となる。
症状は、発熱、咳、痰などが代表的な症状となる。
・何となく元気がない
・食欲がない
・体が異常にだるい
・食事中にむせる
・食後に声がかすれる・痰がからむ
・食事に時間がかかる
などの兆候が見られたらかかりつけ医に相談を。
※嚥下とは無関係に続く不顕性誤嚥による誤嚥性肺炎もよくみられ、肺炎症状が明らかではないため、見落とさないように注意が必要となる。
●人工呼吸器が必要な人
自力での呼吸が難しい人が人工呼吸器を必要とする。
原因疾患は
・慢性の呼吸器疾患(肺そのものの障害をきたす)
・中枢・脊髄性疾患(呼吸の指令、調節の障害をきたす)
・神経筋疾患(呼吸運動の障害)
があり、主な慢性疾患は、
①気管支喘息
②慢性閉塞性肺疾患(COPD)
③肺がん
④間質性肺炎、肺線維症
⑤気管支拡張症
⑥肺結核
⑦睡眠時無呼吸症候群
⑧胸郭変形に伴う呼吸障害
⑨神経筋疾患
⑩うっ血性心不全
などがある。
🌕やはり、タバコ🚬は怖いということでしょうか。
喉を潤すためにも、やはり布でもいいから、マスクはいるなあ、、、
よく見たらイラストの喉の弁と、気管の距離はもっと近いです😣